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校長室より

念ずれば花ひらく

第67回卒業証書授与式 式辞

北陸の長く厳しい冬が終わり、大地に春のぬくもりを感じる季節となりました。三年生の皆さん、卒業おめでとうございます。桜のつぼみは、皆さんの門出を祝うかのように、咲き誇る瞬間を今か今かと待っています。

 桜は,幾つもの木が同じ時期に一斉に花を咲かせます。そのほとんどがソメイヨシノという同一品種であり,長年,人の手によって挿し木・接ぎ木されコピーが作られてきました。そのため,同じ環境下で一斉に花を咲かせるのです。冬枯れの景色の中、春色の花が一斉に咲き、一斉に散っていく美しさとはかなさは,昔から多くの人々を魅了してきました。

 今年度の生徒会スローガンは、「百花斉放(ひゃっかせいほう)」。これは、「さまざまな種類の花が咲き誇る」ということを表した言葉で、一斉に花が開く桜の美しさもさることながら、色も形も咲く時期も違う,それぞれの特徴を持った花が咲き誇るという意味です。転じて,本校一人ひとりが,それぞれの個性を生かしながら共に成長し、自分らしく生きよう,自分らしい花を咲かせよう,という願いがこめられています。

 三年前、コロナ禍の影響が残る中、皆さんは本校の門をくぐりました。人との距離を保つことを余儀なくされ、友達との心の距離の縮め方に苦心した人も多いでしょう。また、六つの小学校が集まる人の多さに驚いたのではないでしょうか。

 数年間全世界を苦しめた新型コロナが収束に向かった二年生の春、学校では、授業や部活動・行事の多くがかつての姿を取り戻し、これまで蓄積された生徒たちのエネルギーが解放されました。校内はいつも皆さんの元気な声と明るい笑顔であふれていました。

そして迎えた三年生。「百花斉放」のもと、南部中学校の様々な活動で、皆さんの持つ大きな可能性が開花しました。

 運動会では、残暑の中、団長やリーダーを中心として、三学年が一体となった練習が繰り広げられました。学年を超えて百人以上の生徒をまとめることは、容易なことではありません。日々、苦労を重ねながらも、粘り強く取り組む三年生の姿に、南中の誇りを感じました。圧巻だったのが、応援タイムのパフォーマンスです。躍動感・一体感あふれる演技は、蒸し暑いドームの空気をさらに熱くするパワーがありました。伝説の運動会を創り上げたいという団長の思いが実現した瞬間でした。

 リンクをテーマにした文化祭で、最も印象に残ったのは、何といっても合唱コンクールでの三年生の歌声です。どのクラスの合唱も、心の奥に響いてくるものばかりでした。時には友とぶつかり、熱く議論したこともあるでしょう。しかし、それを乗り越えたからこそ、心震える合唱が完成しました。友との心がつながる、すばらしい合唱・すばらしい文化祭でした。

 このような本校での数々の経験は、自分らしい花を咲かせるための礎となっていることでしょう。

そんな皆さんに、私から伝えたい言葉があります。それは「念ずれば花ひらく」という言葉です。これは熊本県生まれの詩人 坂村真民(さかむらしんみん)さんが書いた詩の冒頭の言葉です。

 念ずれば 花ひらく

苦しいとき 母がいつも口にしていた このことばを

わたしはいつのころからか となえるようになった

そうしてそのたび わたしの花がふしぎと

ひとつひとつ ひらいていった

 この詩が生まれた時、彼は目を患い絶望の底にありました。心も体も暗い世界に落ちていました。このような時、ふと流れ星のようにこの詩が生まれ、落ち込んでいる魂を奮起させました。「念ずれば花ひらく」という言葉は、真民が小さいとき、母親が、苦しい生活の中で自分自身を励ますために、口にしていた言葉だそうです。

 念ずるというのは、前向きに生きようとする希望であり、どん底に落ちても這い上がってくる不屈の魂です。これからの人生は、何気ない日常を尊く感じる日もあれば、そよ風すら嵐に感じる日もあるでしょう。しかし、どんな時でも人生のすべてに意味があります。希望を持ち、不屈の魂で乗り越えてください。

 花は,太陽に照らされ,雨に潤い,大地に支えられ美しさを増します。皆さんがここまで成長できたのは,どんな時も、日向になり陰になり支えてくれた太陽のような大地のような人の存在があったからです。家族、友人、先生方、地域の方々、多くの人の支えがあったからこそ、今があるのです。これからの人生も、皆さんの成長を、多くの人が支えてくれるでしょう。その人たちへの感謝の気持ちを忘れず、「ありがとう」と素直に伝えられる人であってください。

 保護者の皆様、お子様は本日、九年間の義務教育の過程を修了しました。心からお祝い申し上げます。小さく柔らかい体をおそるおそる抱いたあの日から、十五年がたちました。保護者の皆様の深い愛情があり、お子様は体も心も大きく成長しました。優しく声をかける日もあれば、時には厳しく咎める日もあったでしょう。しかし、どんな時でも寄り添い支えていただいたその思いは、言葉にせずとも伝わっています。卒業後も、お子様の最大の応援団として、その成長を見守ってください。

 最後になりましたが、本日ご臨席いただいたご来賓の皆様、三年間生徒たちを温かく見守っていただき、誠にありがとうございました。このような場所からではございますが、厚くお礼申し上げます。

 いよいよお別れの時です。南部中学校で心に刻み込まれた苦労や喜びは、いつかきっと、生きていく力に変わるでしょう。どんな時でも、不屈の魂と感謝の心を持ち、自分らしい花を咲かせる努力を続けてください。

百花斉放、来るべき未来が、春を彩る桜のように、力強い夏のヒマワリのように、可憐な秋のコスモスのように、多彩な花が咲き誇る、色鮮やかな日々になることを、心から願っています。

 さようなら そしてありがとう 再び出会うその時まで

皆さんの人生が幸多きことを祈り、式辞といたします。

令和七年三月十四日     小松市立南部中学校 校長  亀田 憲一郎

 

グッドラック

公立高校入試が近づいてきました。いよいよ最後の追い込みですね。
校長室の前には、「Good Luck」という本を置いています。それには、運と幸運の違いについて書かれています。

印象的な部分は、

『運は呼び込むことも引き留めることもできない。幸運は、自らの手で作りだせば、永遠に尽きることはない。』

『幸運を作るというのは、チャンスに備えて下ごしらえをしておくこと。だがチャンスを得るには、運も偶然も必要ない。それはいつでもそこにあるものなのだから。』

 

入試のためにしっかり準備をして、チャンスを自分のものにしてほしいと思います。3年生、頑張れ!!

再生・成長の年へ

あけましておめでとうございます。

令和7年が始まりました。昨年は能登地震とともに新年が始まりましたが、今年は比較的穏やかに新年を迎えることができました。能登の皆さんが、今年一年平穏に暮らせることを願っています。

 さて、年が変わるとき、よく話題となるのがその年の干支です。今年は、巳年、へび年です。私は、小さい時から蛇が苦手ですが、みなさんはどうですか。

実は、蛇は、昔から金運・繁栄をもたらす縁起物として認識されており、日本各地で信仰の対象ともなっています。また、コロナ禍で話題になったWHO世界保健機関のマークにも、杖に巻き付いた蛇が描かれています。ギリシャ神話を由来とし、病気治療の象徴として描かれたマークだそうです。蛇は爬虫類の仲間で、脱皮を繰り返しながら成長します。脱皮することで体が大きくなり、また、表面の傷も治癒していくと考えられています。このようなことから、繫栄や治療のシンボルとして描かれることが多いようです。

 その巳年にちなんで、皆さんに意識してほしいことがあります。それは「再生・成長」です。昨年、いろいろなことがあって、勉強や部活動、人間関係などでつまずいたり困難にぶち当たったりした人もいるでしょう。そんな人は、新しい年を機に、そのつまずきや困難を脱皮し、さらなる成長につなげてほしいと思います。年が変わることは、大きなチャンスです。昨年苦しんだ人は「再生」を目指して、昨年成長した人はさらなる「成長」の実感を目指して、ぜひ頑張ってください。

 23・50、ここに2つの数字があります。これは、カウントダウンの数字です。23は、3年生にとっての私立高校入試までの土日を含めた日数です。あと23回寝て起きたら、その日が私立高校入試の日です。50は、1・2年生にとって、3学期に学校に登校する日数です。あと50回登校すると、1・2年生を修了し、学年が1つ上がります。

 3学期はあっという間に過ぎますが、高校入試や卒業式・修了式など、1年で最も重要な時期といっても過言ではありません。1日1日を大切にし、悔いなく過ごしてほしいと思います。今日から「再生・成長」していきましょう。

虹の下をくぐれるかな

午後3時過ぎ、生徒たちが窓の外を指さしているので何かと思って見てみたら、東の空に綺麗な虹がかかっていました。久しぶりに見た気がします。師走の忙しい時期ですが、ホッとした瞬間でした。

小学生の時、学校帰りに虹を見つけ、いつかその下をくぐりたいなと思ったことを思い出しました。まだ、くぐったことはありません。

この気持ちは何だろう

職員室の前の図書コーナーには、谷川俊太郎さんの特集が組まれています。司書の先生が展示してくれました。その昔、合唱曲の「春に」に心惹かれたことを覚えています。忙しい日々ですが、ゆっくり詩や小説を愉しむ時間もつくりたいなぁと思っています。秋の夜長、皆さんはどう過ごしていますか。